板金で使う鋼材
鋼材知識
2024.10.05
弊社で主に板金用に使う鋼材は「軟鋼板」です。
一般的に軟鋼板はSPCCと呼ばれる冷間圧延鋼板、SPHCと呼ばれる熱間圧延鋼板があります。その違いは簡単に言うと製造の仕方が異なることです。
高温の鋼塊を圧延機で延ばし鋼板にしますが、表面に黒い酸化被膜が付着します。ここまでの工程でできた鋼板がSPHCですが、この鋼板の黒い被膜を酸で除去したものが酸洗材(SPHC-P)と呼ばれるものです。
SPCCは上記のように製造工程が多いため、SPHCより高価になります。また、SPCCは冷めてから製造する板厚に伸ばして加工するため板厚寸法の精度が高く、表面は光沢があり滑らかになります。
板厚が1.6㎜よりも薄い鋼板はSPHCでは板厚設定がありません。
シムなどの板厚制度が必要なものはSPHCではなくSPCCを使いますが、さらに精度を求める場合はSKと呼ばれる炭素工具鋼を使います。この鋼材は高精度のゲージ鋼で鋼材の価格も段違いに高くなります。SPCCは0.5㎜未満の板厚設定は無いですが、SKには細かい板厚設定があるのも特徴です。しかし、製造されている定尺板のサイズがSPCCに比べ小さくなっており、製作に必要な大きさにマッチングしないことが多々あります。
まとめ
シムなどの板厚寸法の精度が必要な製品に対して使う鋼材が公差の激しいSPCCやSKで、ブラケットやカバーなどの板厚精度の必要としない製品に対して使用する鋼材がSPHCやSPHC-Pになります。
そして鋼材の価格が高い順にSK、SPCC、SPHC-P、SPHCとなり、板厚寸法の精度が必要な鋼材ほど価格が高くなるため、製品の使用用途により適切な鋼材を選ぶことでコストを抑えることができます。